災害と紛争の間で。 | ある植物学者の視点。

災害と紛争の間で。

昨年末のスマトラ沖地震および派生した津波により、甚大なる犠牲が生まれてしまいました。現地では各国の支援の元で救援、復興作業が進んでいますが、被災地の一部では宗教対立や独立紛争などがあり、残念ながらこのような非常事態にあっても戦いを止めようとしない者もいるそうです。対立するものにとって、特に劣勢の側であればこの災害を好機と捉える考えは戦時下においては仕方のないことかもしれませんし、上層部が休戦を決めたとても災害で指揮系統が乱れた状況では一部の暴走が生じる可能性も否めません。

しかしながら、これらの報道は主に主権側からの説明に基づいていますので我々報道を聞く側もある程度の思慮を持って考えなければなりません。つまり、事実無根の発表を行ったり、ひどい場合には自作自演でゲリラの犯行を大々的に報道し、世界的世論を独立派への批判に向かわせる意図を持った発表である可能性もあります。(個々の報道を指し示すものではありません。)
この点について、昨年中のイラクでの人質事件などありましたが、中立な立場で自ら取材を行う報道カメラマンや記者の役割は大きなものです。ただし、職務が社会に与える貢献度は高いですが、あくまでもハイリスク・ハイリターンな、ただの「職業」なのです。彼らの行いが「正義」であると感じるのは錯誤であるということを彼らに、そして我々自身も考えねばいけません。

今回、インド北部カシミール地方のイスラム教系独立組織・JKLFが、「仇敵」であるヒンズー教徒のインド人が津波による甚大な被害を受けたことに対してメンバー及び支援者に献血、募金を呼びかけているとの報道がありました。うがった見方をすれば、国際社会に対する「人気取り」であると見ることもできるのですが、困ったときに助け合うことでお互いへの理解が深まり、和解への道も開かれるのではないでしょうか。