ある植物学者の視点。 -2ページ目

生物学者の慢心と遊び心。

今年のクリスマスイブ、国立研究機関の研究者2名が過去に国際雑誌に発表した論文に捏造されたデータが複数含まれていたことが公になりました。当該の研究員は10月に退職(解雇ではないらしい。つまり、退職金が支払われた?)し、論文の取り下げ手続きが進行しているとのこと。つまりは、すべての処理が終わってから公表されたということでいかにも旧態依然としたやりかたに世間の目も厳しいものとなりつつあります。

研究者というのは、いかに著名な国際雑誌に論文を採択されるかで評価を受けます。今回も、地位の向上と維持の為に不正に手を染めたのでしょう。実際にはたった一つのデータを出すのに多大な労力と時間を要するのですが、これを捏造するとなれば一瞬でお望みのデータを得る(作る)ことが出来てしまいます。そのために一度、捏造の味を知ってしまうとこれを繰り返すようになるのは自明の理です。また、一流の国際雑誌に掲載されると多方面から高い評価を受けることとなり、根拠のない慢心までが産み出されていくのです。他人の意見に耳を貸さず、正当な意見にすら激昂するよう指導者には要注意。。。

捏造は学術の発展を大きく妨げますし、何も知らずにそのような者の指導を受ける学生が不憫でなりません。また、彼らの研究費として多額の税金が投入されたことも忘れてはなりません。

我々は研究の過程で、新しい遺伝子、物質を発見・創出したり、研究上有益な動植物の変異体を発見することがあります。新しいものには当然、名前を付けますがこれには研究者自身が遊び心を生かした面白い例があります。
日本人研究者が発見した、メスに興味を示さないオスのショウジョウバエ変異体は、女性に興味を示さない=悟りを開いた、との発想でsatoriと名付けられています。また、人間の細胞生理的に重要な遺伝子としてモームス1という遺伝子があります。お察しの通り、モーニング娘というアイドルグループにちなんでいるらしいです。。。
私も過去に、いくつかの遺伝子に命名をしました。その際、何か面白い名前をつけようかと考えたものですが、業績リストに書くことを考えるとなかなか踏ん切りがつきませんでした(苦笑)

歳末。

今年もあと1週間を切りました。今年は、私にとって留学、結婚、長男の誕生と人生の節目となる大きな出来事があった年でした。しかしながら、未だ続くイラクでの戦争、解決しない拉致問題そして度重なる天災と悲しい出来事が数多く起こった年でもあります。

専門とする植物科学分野では、4月よりカルタヘナ条約が施行されて遺伝子組換え植物(GMO, GM作物)の取り扱いが厳格に規制されるようになりました。この条約施行に端を発した国内各自治体によるGM作物育成の禁止は、実用化を阻む壁でもあり、安全性評価を進める上でも栽培無くしては不可能ですので、大きな壁となっています。安全かつ充分な食糧を作り出すためには、緊急事態が起こる前に長い時間をかけて研究、栽培を繰り返す必要がありますので、我々研究者側からの情報公開、働きかけも必要になっているのだと感じています。

振り込め詐欺も、未だに世間を騒がせています。低リスク・高リターン(逮捕率が低い、準備経費がかからない)ですから、マスコミが騒ぐことで新規参入する輩も多いのではないかと感じています。実は、私の実家にも何度か電話、手紙が舞い込んでいますが、むしろその数に辟易としているそうです。

変質者(と思われる被疑者)による事件も数多く起こりました。このような事件については再犯率も高いですので、イギリスのように過去にそのような事件を起こした人間の住居に表示をしたり、ネットなどで情報公開しなければいけないところまで来たのかもしれません。

出産に関わる出費と助成。

少子高齢化の昨今、出生率の低下が社会問題となっています。失業率の増加や、フリーター世帯の増加もあり、若年層の世帯収入低下もまた大きな社会問題です。出産には多くの出費を伴いますので、子供を作ることをためらう、断念する方も数多いと聞きますが、様々な公的助成によるサポートを受けることが可能です。でも、その手続きは煩雑です。

先日の記事で御報告した出産育児一時金について、居住自治体の国保年金課より支給可能との御回答をいただけました。教えていただいた支給基準については、以下の通りです。

1)分娩者自身が社会保険の被保険者(被扶養者を除く)として1年以上加入していて、かつ、社会保険脱退後6か月以内のときは出産育児一時金は分娩者自身の社会保険から支給

2)社会保険脱退後6か月以内であっても、上記の条件に該当しない場合や
国民健康保険加入後6か月以上経過している場合は、国民健康保険から支給

本人の加入が不十分な場合にも伴侶が加入する社会保険からの支給が可能です(我が家はこれに相当)。抜け道指南のようで少し気まずいのですが、ここで皆さんによく読んでいただきたいのは2)の条項です。もし貴女が社会保険または国民年金に加入していない場合、妊娠3ヶ月以内に国民健康保険に加入すれば出産育児一時金(30万円)を受け取ることが可能になります。早産、帝王切開などの場合には保険診療になりますので、ほとんどの場合に経済的負担を補助されることになります。

行政補助は自ら申請することで始まります。そのため、窓口担当者が必ずしも関連法規を熟知しているわけではありませんのでご注意を。

なんだかわからないこと。

妻の出産が近づいてから、色んなカタログが送られてきます。主に、育児用品のカタログですが、中には公的補助金に関する情報が書かれた便利帳のようなもの(しかし中身の大半は、育児ローンの広告)もあります。個人情報保護が叫ばれる中、いったいどこから彼らは情報を入手しているのでしょう。

今回の場合、妻がいくつかの出産関連雑誌の懸賞に応募していたのでおそらくはそこから情報が流れているのだと推察されます。もっとも、最近テレビでやっていた葬儀関連のように役所や病院から漏れている可能性を否定する材料もありませんけど。

一度、情報のリーク源を特定できたことがあります。それは、結婚を前に指輪を購入した店です。当時、私は主に海外で研究をしていましたが、日本に戻っている間に職場近くの店で指輪を購入しました。家族、友人以外で私が結婚することを知っていたのはこの店だけです。注文直後から様々なダイレクトメールが届くようになりましたので、店側にそれとなく聞いてみたところ、「当店では個人情報の保護を厳密に行っています。」との回答が。「それは外に出す(売る)情報の管理ですか?」と聞きたかったけど・・・。

そういえば、今月の14日になぜか99人の方がこのページを訪れてくれました。何故、14日だけこんなに突出したのか?これも謎です・・・。

不思議な直感。

週末を利用して、先日産まれたばかりの我が子と対面してきました。片道4時間、しかも日帰りだったので実質3時間程度しか病院にいられませんでしたが、初めてのことですし緊張and楽しいひと時でした。

病院はすごく混んでいて、30人ほどの新生児がいたそうですが、お母さんが病室に連れて行ったりして全部の子が常に新生児室にいるわけではありません。私が行ったときには、10人程度の子供が新生児室にいました。友人の子供などを見に行ったときには、名前の書かれたプレートを頼りに探すものですが、不思議なもので我が子の場合には直感で最初に見た、奥のほうに寝ていた子がそうでした。見えない絆というものを強く感じました。

長男誕生しました。

木曜日に、待ちに待った赤ん坊が産まれました。実は、出張の関係で妻の帰省先の近くまで行っていたのですが、まだ産まれないだろうと思って自宅に引き上げた矢先の誕生でした。平日だと出産に立ち会うことはほぼ不可能な中で、せっかくのチャンスを生かすことが出来ず残念ですが、母子共に健康とのことでほっとしているところです。

今日は出生届やら出産育児一時金申請書類やらをもらいに市役所に行ってきました。ここで一時金の申請資格について、少しトラブルがありました。担当の方いわく、妻の健康保険加入期間が1年に満たないので支給できないとのこと。(妻は海外生活の間、健康保険に加入していなかった)でも、一年以上の加入が必要なんて初めて知った・・・。
そこで一度は諦めて帰ったのですが、なんとなく納得できなくて色々と自分で調べてみました。すると、保険加入者(被保険者)の家族(被扶養者)の出産に対する一時金という制度がありました。で、ネットでいろんな市町村のホームページなんかを調べてみると、この家族出産育児一時金に関する記述が多くの市町村で欠けていることがわかりました。出生率も下がっている昨今、せっかくの給付制度のPRと職員への周知が出来ていないというのは、大問題なのではないでしょうか?

そもそも、出産関連に健康保険が使えないことや自由診療で非常に高額であること自体、出生率低下を引き起こしている一因であると考えているわけですが。

(産婦人科、どこも立派な建物だなあ・・・。)

信用の維持と向上。

今日は少し、毛色の異なるお話ですが、昨日のニュースで三菱自動車が日産自動車より自社に幹部を迎え入れたいとの要請を行ったということがありましたので、表題のテーマについて考えることを。

三菱自動車といえば、リコール隠し等の不祥事から社会的信用をなくし、一時は中古車屋さんでも買い取ってくれないほどの社会問題となりました。一方、日産自動車といえばルノーから派遣されたゴーン社長を中心に奇跡的な回復をみせた会社。日産の復活は、旧態依然とした非効率的な生産・開発方法を改めて大幅な効率化(つまり、リストラ)を断行したことにあります。ゴーン社長就任がマスコミの注目を集めたこともあり、経営の健全化が大きく報道されたことで消費者が受けた好印象が商品の購入を加速させ、業績を向上させたといえます。三菱自動車も、まずは経営の健全化を急速に進めることから開始するようです。

信用というものは長い年月をかけて築いても、崩れるのは一瞬。一度崩れた信用を取り戻すのは容易ではありません。人間関係であれば、お互いのもたれあいの部分もあるので些細なことは我慢もしますが、顧客対企業の場合には、信用の対価として代金を支払うわけですから、どんな些細なことでも顧客に不信感を抱かせてはいけません。私も大学などで講義を行っていますが、授業内容には細心の注意を払っています。内容に間違いがあってはいけませんし、板書に誤字があってもいけません。教師が教壇に立つ場合、生徒からの信頼と保護者からの授業料を受け取っているのですから。




躾とスポーツ。

今日はネット、テレビ共にスポーツ界での躾の問題が取り上げられていました。出典は差し控えますが、西武の松坂投手が野球教室に参加した子供からため口をきかれたり、きちんとあいさつも出来ない子供が多いことに苦言を呈していました。また、相撲界でも土俵でのルールを守れない力士が多いために再講習を行うとのこと。さらに、部屋での躾(しごき?)も兄弟子が弟弟子の頭をはたこうものなら両親が烈火のごとく怒って親方に怒鳴り込むのだそうです。昔のイメージだと、相撲部屋に入門するのはそれぞれ地元で喧嘩最強の荒くれ者で、自分より遥かに強い兄弟子たちに出会って躾られるものでしたが、、、。過度の体罰を肯定はしませんが、善悪の判断が出来ない場合で第三者に迷惑をかける恐れがある場合には、叩かれるからやらない、という方向からはいるのも必要です。

確かに、スポーツの世界で大成されている方の多くは人間的にもしっかりした方です。オリンピックなどで急に脚光を浴びたりプロ入りで注目された際には「問題あり」な言葉遣い、行動をする方も多いのですが、長く第一線で続けていくには人間的な成長が必須であると思います。


第一線で生きていくということは、多くの人と接して学ぶということでつまりは如何に深く広い信頼関係を構築できるかにかかっています。これは、すべての職業にあてはまりますし、単に社会生活を送るのにも必要なことです。敬語や、ルールを守れない人間に対して親切にものを教えてくれたり、長く付き合ってくれる人間はあまりいないものです。つまり、信頼関係の構築には躾により身についた社会常識が必要なのです。

教師の責任?

最近は出張が多く、なかなか記事をアップすることが出来ませんでした。今日は電車の中で、小学生のお子さんを持った奥様方の会話から、またいつもの疑問が浮かんできましたのでこれについて。

小中学校の教師に子供の「躾」を求める声はやはり多いようですね。今日の方たちは、休み時間には廊下や教室に立ってごみ拾いなどの指導「=躾」を行うべきだ、と主張しておられました。躾の中には、集団生活の中でしか身につけられないもの、また磨き上げる必要のあるものもありますが、基本的には不特定多数での集団生活を出来る(学校生活に支障をきたさない)躾は家庭、親の責任です。また、少し聞き耳をたてていたところ、どうも先生方が休憩時間をとること自体に不満があるようです。もちろん、生徒の目に触れるところ(時間)でタバコ吸ったり、子供に持ってくるなと言っているお菓子を食べるのはどうかと思いますが、教師も労働者として休憩時間をとる権利が存在します。彼女たちは、勤務中に休憩時間をとったことがないのでしょうか、、、?

教師という職業、それぞれ個性のある数十人の子供を相手に授業を行うのですから見ため以上に過酷なものです。団地などでは、授業の様子を双眼鏡で監視して、教師が少しでも窓の外を向いて休んでいると(実際には、生徒に問題を解かせている、試験中です、、)職員室で苦情の電話が鳴るということが実際にあるようです。太陽がまぶしいときにカーテンを閉めるのもNGということもあり、授業に支障をきたす場合もあるようですし、なにより精神を病んで入院、退職された方も私のまわりにはおられます。そのエネルギー、我が子の躾にまわされては如何でしょう?

新幹線のホットスポット

最近は、新幹線や都内の私鉄など、駅の待合室で無線LANが使えるところが多くなってきました。空港での利用はかなり一般的になってきましたし、街中には無料のスポットもちらほらとみられ、非常に便利になっています。最近、毎週のように新幹線に乗っているのですが、新幹線待合室の無線LANスポットに少し異議があります。
この前、実際に利用しようとするとパスワード入力の必要がありました。セキュリティーの問題もあるし、新幹線の切符(世界で類を見ないほど高い)を買った人へのサービスだから在来線側から使えないようにしているのかなあ、と思い、待合室内を色々さがしたのですが、このパスワードについての記載はありませんでした。仕方なくその日はあきらめ、帰宅してから調べてみたところ、特定のプロバイダ利用者のみが利用できるとのこと。
広告などでは、「無料スポット」となっていますし、このことに関する記載はこのホームページ以外にはどこにもありませんでした。これって、不当広告?それとも私が無知だったのか?と色々考えて、それから数日、待合室でパソコンを取り出している人を観察してみると、「おかしいな~」という感じで首をかしげていた方が数人いらっしゃいました。
JRさん、パソコンも重いんだから、広告・待合室に正しい表示を!!

余談ですが、ルフトハンザ航空がフランクフルトーニューヨーク間で試験運用した航空機内無線LANは非常に好評だったそうです。新幹線車内で使えるのなら、提携プロバイダに入ってあげてもいいかな、と思っています。